現役薬剤師の中にも疑義照会が苦手な方は多いです。
しかし、薬剤師になる以上、疑義照会から逃げることはできません。
苦手な理由としては、「医師と話すのが苦手(怒られるかも・・・)」「上手く伝わるか不安」など様々あります。
医師も普段の忙しい診療の中で、薬剤師の疑義照会で邪魔されるとイラっとすることもあるでしょう。
だって、人間だもの・・・
しかし、疑義照会を怒られるからと言って、しないわけにはいきません。
義務違反だけでなく患者様の不利益になります。
場合によっては健康被害に繋がります。
医師に怒られようが関係なく、目の前の患者さんの利益を最優先に考えて行動しなければなりません。
実務実習でも「疑義照会を実践する」という達成項目がありますので、必ず実習中に実施します。
大学ではなかなか疑義照会を練習しないようですが、薬剤師として働いていると毎日のように疑義照会を行います。
急に指導薬剤師にやってごらんと言われてもびっくりしないように、シミュレーションしておきましょう。
電話による疑義照会をシミュレーション
電話での疑義照会をシミュレーションして、目をつぶっても口から出るくらいにしておきましょう。
電話をすると基本的には事務さんが出てくれます。
実際の会話例をみていきましょう。
疑義照会例①
薬局「お忙しいところ失礼いたします。〇〇薬局 実習生の××と申します。」
病院「お世話になっております。」←大体、決まり文句です。
薬局「本日(昨日・●●日)ご受診された、〇〇様のご処方の件なのですが。」
病院「はい。(「少々お待ちください」と言われる場合もあるので落ち着きましょう。)」
薬局「上から2番目のアレロック錠の飲み方について、2錠 分1 朝食後とご記載頂いているのですが、2錠 分2 朝食後・寝る前でよろしいでしょうか。 」※注①
病院「先生に確認します。」
病院「すみません、2錠 分2 朝食後・寝る前でお願いします。」
薬局「ありがとうございます。2錠 分2 朝食後・寝る前に変更いたします。お手数おかけいたしました。」
<解説とポイント>
※注①:一般名処方の場合、処方箋に書いてある通りに一般名を伝えても、病院の事務さんには伝わらないことが多いです。先発品の名前を確認しておきましょう。
病院での処方箋入力は、「先発品名を入力してから、一般名処方にする」といった方法で行われることが多いです。よほどのベテラン事務さんなら伝わることもありますが、一般名(薬の成分)にはあまり馴染みがありません。
疑義照会例②
薬局「お忙しいところ失礼いたします。〇〇薬局 実習生の××と申します。」
病院「お世話になっております。」
薬局「本日(昨日・●●日)ご受診された、〇〇様のご処方の件でお伺いしたいのですが。」
病院「はい、どうぞー」
薬局「アンテベート軟膏の部位の記載がないのですが、部位は手で宜しいでしょうか。」
病院「少々お待ちください。先生に確認いたします。」
病院「お待たせいたしました。手でお願いします。」
薬局「かしこまりました。お忙しい所ありがとうございました。」
<解説>
◆部位の記載がない場合も、薬剤師側としては「指示が不明確な処方箋」として医師へ確認をする必要があります。
医師との取り決めがあれば良いですが、薬局によってはこの部位漏れ処方箋をスルーしている所もあります。
ですが、厚生局からのチェック(集団指導・個別指導)が入ったときに、これは確実に指摘をされます。
◆病院によっては、部位の記載をしなくてもよいと考えている医師やスタッフも散見されます。
<その際の会話を以下に例示いたします。>
病院「部位の記載をしなきゃいけないんですか?」
薬局「細かい所で申し訳ないのですが、近年特に厚生局からの指導が厳しくなっており、部位が不明確な処方箋について疑義照会により部位を確認するように指導されております。お手数ですが宜しくお願いいたします。」
病院「わかりました。確認いたします。」
丁寧になぜ記載が必要なのかを、根拠を用いて伝えましょう。
次回以降は部位の記載をしてくださったり、「あ、そうでしたね」と言ってすぐに伝わることが多いです。
まとめ
疑義照会は人と人との会話です。
活舌が悪かったり、噛むのも当たり前です。
伝わっていなければ2度言えば良いだけですので、焦らずに確実に伝わるまで話しましょう。
相手の回答が聞き取れなければ「すみません、もう一度お願いします。」と素直に言いましょう。
また電話を掛け直すよりは良いです。