この記事は医療事務さん、薬剤師さん向けの解説です。
以下のページで薬学生さん向けにもっと詳しく解説しておりますので、ぜひご覧ください。
薬学生向けはこちら→実習の時に知っておきたい「変更調剤」③(全3回/一般名処方からの変更)
前回は先発品からの変更調剤を確認しました。
前回の記事はこちら→確実に理解しておきたい「変更調剤」(全3回/②後発品記載の場合)
変更調剤は3種類のパターンがあります。
①先発品記載からの変更
②後発品記載からの変更
③一般名処方記載からの変更
今回は【 ③一般名記載からの変更 】を確認しましょう。
一般名処方の重要ルール
一般名処方では重要なルールが一つあります。
◆薬剤料が高い・安いを考える時は、その薬の中で一番薬価の高い先発品を基準とします。
すなわち、先発品にX錠(薬価9.6円)・Y錠(薬価13.6円)・Z錠(薬価18.2円)が存在した場合、Z錠の18.2円が基準です。
一般名処方からの変更
この場合は (1)一般名処方→先発品 (2)一般名処方→後発品のパターンがあります。
(1)一般名処方→先発品
このパターンでは、疑義照会なしに剤形や規格を変える事はできません。
◆薬価の一番高い先発品が基準となります。
先発品が何種類かあり、薬価が異なったとしても、高い薬でもお渡しが可能です。
すなわち、薬価に関係なく、該当する規格・剤形であればどの先発品でもお渡しできます。
◆一般名処方で「先発品を希望する」場合にミスしがちな例があります。
ガスター錠(普通錠)とガスターD錠(口腔内崩壊錠)を例にすると、
〇【般】ファモチジン錠10mg → ガスター錠10mg(先発品)
〇【般】ファモチジン口腔内崩壊錠10mg→ ガスターD錠10mg(先発品)
当たり前の事ではあるのですが、忙しい現場では以下のような間違えが時々起こります。
×【般】ファモチジン錠10mg → ガスターD錠10mg(先発品)
×【般】ファモチジン口腔内崩壊錠10mg→ ガスター錠10mg(先発品)
疑義照会をせずに、剤形を変えるのは不可ですので注意が必要です。
(2)一般名処方→後発品
薬剤料が安い場合 (基準となる先発品よりも)
薬剤料が高くなる場合(基準となる先発品よりも) ※レアケースです。
まとめ
3回にわたって、変更調剤を解説いたしました。
変更調剤のルールは複雑ですが、ルール内であれば、患者さんによりよい提案が可能になることもあります。
ルールに縛られたとしても、変更調剤を駆使して出来る事は非常に多いです。
例①:10mgの錠剤が大きく飲み込みづらい。→5mgの錠剤2錠を提案する。
例②:カプセルが飲めない→錠剤への変更。
例③:口腔内崩壊錠の味が苦手→味の異なる別のメーカーや、普通錠への切り替え。
安心・安全・効果的に薬を使っていただけるよう、変更調剤を駆使して日々の業務に取り組んでいきましょう。