「変更調剤」最後となる今回は、一般名処方からの変更調剤について解説いたします。
【変更調剤の前提ルール】
必ず、患者さんに適切な説明をし、同意を得ましょう。
一般名処方からの変更
この場合は (1)一般名処方→先発品 (2)一般名処方→後発品のパターンがあります。
一般名処方のルールとして、重要なルールが一つあります。
値段が高い・安いを考える時は、その薬の中で一番値段の高い先発品を基準とします。
すなわち、先発品にX錠(薬価9.6円)・Y錠(薬価13.6円)・Z錠(薬価18.2円)が存在した場合、Z錠の18.2円が基準です。
(1)一般名処方→先発品
このパターンでは制限が多いです。剤形や規格を変える事はできません。

◆値段の一番高い先発品が基準となるので、先発品が何種類かあって値段が異なったとしても、高い方の薬で出すことができます。
すなわち、値段に関わらず、該当する規格・剤形であればどの先発品でも出せます。
◆一般名処方で「先発品を希望する」場合にミスしがちな例があります。
ガスター錠(普通錠)とガスターD錠(口腔内崩壊錠)で考えてみましょう。
〇【般】ファモチジン錠10mg → ガスター錠10mg(先発品)
〇【般】ファモチジン口腔内崩壊錠10mg→ ガスターD錠10mg(先発品)
この場で見ると、当たり前のように感じるかもしれません。
しかし、実際に忙しい環境で処方箋を見た際には、以下のように間違ってしまう例が散見されます。
×【般】ファモチジン錠10mg → ガスターD錠10mg(先発品)
×【般】ファモチジン口腔内崩壊錠10mg→ ガスター錠10mg(先発品)
剤形を変えるのは不可ですので注意しましょう。
(2)一般名処方→後発品
値段が安い場合 (基準となる先発品よりも)

このケースでは非常に自由度が高いです。
目の前の患者さんに一番メリットのある薬でお渡ししましょう。
値段が高くなる場合(基準となる先発品よりも) ※レアケースです。

稀にですが、先発品よりも高い後発品が存在します。
その場合は規格・剤形の変更は、疑義照会なしにできませんので注意が必要です。
さいごに
3回にわたって、変更調剤を解説いたしました。
このルールは非常に複雑ですが、ほとんど全ての処方箋で変更調剤が行われます。
ルールをしっかりと理解し、100%確実に変更調剤ができるようにしておきましょう。
ルールに縛られたとしても、変更調剤を駆使して出来る事は非常に多いです。
例①:10mgの錠剤が大きく飲み込みづらい。→5mgの錠剤2錠を提案する。
例②:カプセルが飲めない→錠剤への変更。
例③:口腔内崩壊錠の味が苦手→味の異なる別のメーカーや、普通錠への切り替え。
目の前の患者さんに安心・安全・効果的に薬を使っていただけるよう、変更調剤を駆使して積極的に提案をしていきましょう。