薬価差益の罠

薬局の収益は技術料や薬剤料などから成り立っています。

そのうち、大きい薬局では薬剤料が一カ月に5000万円にもなりますが、薬の仕入れにかかっている金額はどのくらいでしょうか。

普段から在庫管理を担当していなければ、気にする機会は少ないでしょう。

仕入れにかかる金額(納入価)

仕入れ価格(納入価)は各卸さんとの協議によって決定されます。

卸さんも得意なメーカーがあったり、普段の購入規模によっても頑張れる価格は異なってきます。

売上になりそうな金額が高く、処方量も多い品目は各卸さんも「ぜひ、うちから買って欲しい」と狙ってきます。

もちろん「こちらの卸さんはこのくらい数字出したけど」と言えば、「ではうちはここまで出します。」と頑張ってくださる場合もありますが、キリがないですし信頼にも関わってきますので奥の手と考えておきましょう。

(配送のタイミングがA社が良いが、B社の方が納入価が安いときなど、A社に合わせられるか相談するなど。)

この納入価に消費税(10%)が掛けられたものが実際の納入価格となります。

販売価格=薬価

上記で納入価に消費税が掛かると述べましたが、販売時(患者さんに処方箋に基づいてお渡しする時)にはどうでしょうか。

患者さんが処方箋を基に薬をもらう時にも、消費税が掛かっているでしょうか?

答え:かかりません。

すなわち、納入時には消費税が発生し、販売時には消費税が発生しません。

つまり、卸さんが薬価より-10%で納入と言っても、消費税で±0になります。

どんなに良くても-30%程度ですし、通常は13~18%程度なので、「薬を買って売って」で薬局がプラスになる金額は思っているより多くはありません。

さいごに

最近はコロナ禍において、卸さんも非常に厳しい状況が続いています。

人員を減らしたり、配送便を減らしたりして減収分を賄おうとしていますが、卸さんの仕事量は増えるばかりです。

後発品の供給不安定問題を始め、最近ではコロナの検査キットも供給がままならず、各医療機関からの問い合わせが毎日朝から晩まで殺到しています。

この状況下では、なかなか卸さんも納入価で良い数字を出すのが厳しいでしょう。

そのため、薬価差益だけではなく、技術料等もしっかりと取っていく必要があります。

国側も無駄な所に診療報酬の評価(点数)を与えているわけではありません。

「薬局の在り方」として、「薬剤師の存在意義」として、求められるところに点数が付いています。

薬局の運営を行うにあたり、「点数を取りに行くこと」は必然的に「求められる薬局」の役割を担うことになります。(もちろん不正がないという前提ですが。)

今年2022年4月は診療報酬の改訂があります。

しっかりと新しい評価に対応して、求められる薬局の役割を果たしていきたいですね。

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